【帝国軍本部 とある一室】
翌朝レイモンドは、ベッドの上で目が覚めた。
ぽたり、ぽたりと落ちる点滴の水面をじっと眺める。
「!」がばりと起き上がる。右をみる、そこにはアルフレードが眠っていた。左を見る、そこにはロベリアが眠っていた。
ぽたり、ぽたり、レイモンドは涙を落とした。
██人もいた幹部が、残り3人...?
あれ、幹部は、何人だったっけ...?
たしか、7人...?
思い出せない、思い出せない。
彼の顔を、名前を、人生を、思い出せない。
なのに、頬を伝う涙だけは止まらない。何故、何故自分は泣いているのだろう。
"なにか大切なものがひとつ欠けてしまったような、そんな感覚"
「なにも、守れなかった...」
そんなことは無いのに。
残された者のこれから先の長い人生できっと月のカケラをもう一度見ることは無いだろうし、███のことを思い出すことも、もう二度とない。
それでも、人間はヴァリスと争い続ける。
きっと今日も、明日も、数千年後も__?
貴方は月を許さないだろう。
月を許すことなどできないだろう。
そうして、また、月_アヴァテアは、ニコリと微笑むのだ。
"氷輪の花が咲く時、誰が笑うのか"
TRUE END:君だけがいない記憶
_________月讐の譚詩曲【完】